七福神の由来や御利益とは?実は日本の神様は一人しかいなかった?!

宝船に乗った七福神をご存知でしょうか?

いかにも新年にふさわしい「縁起物」といった感じですが、七福神の名前やどんな神様なのか、聞かれても答えられる人は少ないはず…

今回は七福神の名前や由来についてご紹介したいと思います。

七福神はいつ誕生したの?

七福神は、平安時代の僧である「最澄(さいちょう)」が比叡山にてヒンドゥー教の神様である「大黒天」を神として祀ったことが起源とされています。そして、その「大黒天」の存在が庶民に広がると、人々は日本由来の神様である「恵比寿」「大黒天」をセットで飾るようになりました。

そのあと七福神は、長い年月をかけて下記の流れで現在の形となります。

  • 平安時代
  • 1.最澄が「大黒天」を神としてまつり、民間にも広まる

    2.民間で「大黒天」と「恵比寿」があわせて信仰されるようになる

    3.「大黒天」「恵比寿」に「毘沙門天」を加えた三柱が信仰されるようになる

  • 鎌倉時代
  • 4.「毘沙門天」ではなく「弁財天」を加えた三柱の信仰起こる

  • 室町時代
  • 5.「寿老人」「福禄寿」「布袋」を入れた七福神の考え方が起こる

  • 江戸時代
  • 6.現在の七柱の神が固定されるようになる



初めから「七柱の神」が揃っていたわけではなく、時代ごとに変化していったんですね。




七福神のモデルがいた?!

中国に、七福神に似た八仙(八福神)といわれるものがあり、すべてが実在の仙人だったといわれています。
この八仙を描いた絵が信仰の対象になっていて、その絵には八仙全員が「船」に乗っているものが多くあり、このことから、七福神の由来は中国の八仙がモデルという説もあります。

参考までに、この中国の八仙の名前をご紹介します。

1.何仙姑(カセンコ)※唯一の女性の神様
2.韓湘子(カンショウシ)
3.漢鍾離(カンショウリ)
4.曹国舅(ソウコクキュウ)
5.張果老(チョウカロウ)
6.藍采和(ランサイワ)
7.李鉄拐(リテツカイ)
8.呂洞賓(リョドウヒン)

そして、余談ですがもう1つ説を紹介します。

徳川家康が画家に「宝船に乗った七福神」の絵を描かせたことで広まったともいわれています。しかし京都の禅寺では、室町時代後半から宝船に乗った七福神の絵が描かれていました。どちらが先か分かりませんが、七福神信仰が広まってまもなく「七福神が船に乗って訪れてくる」といわれるようになりました。




七福神の由来・御利益とは?




七福神には「日本」の神様だけではなく「インド」と「中国」の神様もいます。
そこで、七福神それそれの神様の名前とご利益についてご紹介します。




~日本由来の神様~


恵比寿(えびす)

恵比寿は、上の写真のように「烏帽子」「狩衣姿」で「釣り竿」と「鯛」を持つ漁業の神様です。恵比寿は、日本神話に登場する「いざなぎのみこと」「いざなみのみこと」との間に生まれた「蛭子命(ひるこのみこと)」と言われている神です。
最初は、漁民たちが「守護神」として崇めていましたが、後に「商売の神様」として庶民からも信仰を集める存在となります。

【御利益】
・商売繁盛
・除災招福
・五穀豊穣
・大魚守護



~インド由来の神様~


大黒天(だいこくてん)

大黒天は、打ち出の小槌と大きな袋を抱える農業の神様です。
大黒天は、ヒンドゥー教の神様であり「創造」と「破壊」を司るシヴァ神の化身であるマハーカーラという神様に由来しています。
マハーカーラが日本に伝来した後、日本神話に登場する大国主命(おおくにぬしのみこと)と一体化して誕生したのが「大黒天」なのです。
大黒天の持つ打ち出の小槌は、日本の昔話などで宝として扱われており、振ることにより人々に富をもたらすとされています。

【御利益】
・商売繁盛
・出世開運
・五穀豊穣
・子孫愛育



毘沙門天(びしゃもんてん)

毘沙門天は、鎧を身につけ矛を携えた姿が特徴的であり、財宝を守る神様です。
毘沙門天は、ヒンドゥー教の財宝神であるクベーラが前身であり、当初は戦闘的イメージはありませんでした。
しかし、中国に伝来する過程で、武の神としての信仰が生まれ、その後日本に伝わったとされています。そのため、毘沙門天は現在のような「武神」として描かれるようになりました。

【御利益】
・武道成就
・降魔厄除
・家内安全
・夫婦和合



弁才天(べんさいてん)

弁才天は、七福神で唯一の女性の神であり、琵琶を奏でる姿で描かれる女神です。
ヒンドゥー教の「水神サラスヴァティー」に由来しています。「サラスヴァティー」は、大河の雄大さや偉大さを表す神様として描かれていましたが、河の水の流れる音が、まるで音楽を奏でているようだという連想から「音楽の女神」としても信仰されるように。さらに、サラスヴァティーが「言葉の女神であるヴァーチュ」と同一視されるようになり、弁舌の才に優れ、学芸や知恵をもたらす女神として崇められるようになりました。弁才天において「才(ざい)」という読みが「財」に通じることから「財宝をもららす神様・弁財天」としても表記されています。

【御利益】
・学徳成就
・諸芸上達
・福徳施与
・恋愛成就



~中国由来の神様~


寿老人(じゅろうじん)

寿老人は、白く長いヒゲを生やし、頭巾をかぶり、長い杖と巻物を持った仙人のような姿で描かれることが多いです。元々は、中国の道教の神様で「生」を司る南極老人星(カノープス)の化身とされています。
寿老人は、日本に伝来した際に仏教の神様などとは結びつかず、中国でのイメージがそのまま生かされた姿で描かれています。

【御利益】
・幸福長寿
・家庭円満
・延命長寿
・福徳知恵



福禄寿(ふくろくじゅ)

福禄寿は、寿老人の同体異名とされており、中国人が人生の三大目標として掲げる「福(幸福)」「禄(身分、財産)」「寿(健康、長寿)」のすべてを兼ね備えた神様とされています。
福禄寿は、寿老人と同じく、白いヒゲをたくわえ、縦長な頭が特徴的であり、長い杖を持っています。更に「福・禄・寿」のすべてを兼ね備えた者は、徳も備えていることから、人徳の神様としても有名です。

【御利益】
・延命長寿
・立身出世
・財運福徳
・招徳人望



布袋(ほてい)

布袋は、実在した人物であり、中国の僧である契此(かいし)がモデルになっていると言われています。この僧は大きな袋を背負い、杖を持ち、いつも人々からの施しを求めて、各地を旅して回っていたようです。
そして、契此は、布施を受けた際に、感謝の記しとして、その人の吉凶を占っていました。その占いが百発百中で当たっていたことから、超能力者として人々から一目置かれる存在だったのです。また、背が低く、笑ったときに額や鼻のまわりにシワが寄る愛嬌の良い表情が特徴的だったことから、誰からも「愛される僧」だったと言われてます。

【御利益】
・商売繁盛
・家庭円満
・千客万来
・家運隆盛



実は、日本の神様が恵比寿様だけだったんですね。



災難を除き、幸福が訪れる年を

七福神は、「七難即滅・七福即生」の説に基づくように、七福神を参拝すると「七つの災難」が除かれ「七つの幸福」が授かるといわれています。

「農民」や「漁民」の信仰として成長し、現代も生き続けています。

由来や御利益を知って、家族の災難を除き沢山の幸せが来るように、七福神を飾ってみるのもいいですね。

また、1月2日の夜に見る夢(初夢)の時、枕の下に「七福神の宝船の絵」を敷いて寝ることでいい初夢が見られるといわれています。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。